ふたつデスク越しの 静寂

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2021年4月5日 月曜日。
私の新年度が始まった。

前日、頭の中でシュミレーション。
上長への挨拶をどうしようか考え、Slackで送信する文章を作って。
電車の中で聴くプレイリストも作った。

01.この新しい朝に 浜田省吾
02.光と影の季節 浜田省吾
03.初恋 浜田省吾
04.きっと明日 浜田省吾
05.家路(FC会報100号記念) 浜田省吾
06.Midnight Blue Train 2005 浜田省吾

空は、ぶ厚い雲に覆われていた。
今にも雨が降り出しそうだ。
それでも、雨が降っていないのはツイてる…。

ささやかな祈り の言葉を胸に 聴いたプレイリスト。
悪くない。
このプレイリストのハイライトは、家路(FC会報100号記念)だ。
「今度はオレたちが、みんなの街へ行きます。再会のときを心から楽しみにしてます。それまで元気で、がんばって!」

この省吾さんの言葉が、すべて。
「はいっ。がんばります!」そう思わせてくれる。
やがて、Midnight Blue Train 2005が流れ始めた。

どちらかというと。
というか、
Midnight Blue Trainを聴くなら、やっぱりアルバム「ON THE ROAD」のライブテイク一択だ。
感情まるだしで、魂のこもった歌。
あの切なさが、胸をきゅんとさせる。

プレイリストは、計ったように ぴったりと電車を降りる頃終わった。
我ながら、「おぉーっ」と思った。

席に座り、パソコンの電源を入れる。
昨日下書きしておいた文章を見直し、
より簡潔に、よりわかりやすくを意識した文章に修正をした。
上長にSlackで送信。
あとは、上長のリアクションを待つだけだ。

思ったよりも早く上長は現れた。
送信した文章を読み、どう感じただろうか。
自分の席から呼ばれるのか、それとも、Slackで送信されるのか。
みんなの前で呼ばれるのは恥ずかしいなぁなんて思っていた。

ところが。
いつになっても、リアクションがない…。

リアクションがなければ、私は次の行動が出来ない。
待った。ただ、ひたすらに。
向こう側では、上長の忙しそうに指示する言葉だけが聞こえている。

マズイ。
このままではマズイだろう。
きっかけを、何かきっかけをつくらなければいけない。
そう思い、タイムリミットを設定した。

そのタイムリミットを逃すわけにはいけない。
そして、私がアクションを起こす時には、何人の邪魔があってはならない。
電話がかかってきたり、誰かと話をする前でなければ…。

私は、そのタイミングをうかがい、さりげなくプリンターで出力した印刷物を取りに行き、その一連の流れで上長の席に行き、話し出した。

「お時間があれば、今後のことについて伺いたいことがあるのですが…」
そういうと、「わかった。午前中は忙しいから午後からでいいかな」
「わかりました」
そんな数秒のトークで終了。

わたしは席に戻り、今まで仕事を何事もなかったかのように続けた。
そのうち、上長はミーティングで部屋を出て行った。

1時間後くらいだっただろうか。
上長は部屋に戻るなり、わたしの席に来て、「今からいいかな」と。
上長は、数名のスタッフにも声をかけ、ミーティングが始まった。

よくよく考えると、自己紹介すらするのを忘れていた。
そして、上長は、わたしを紹介しなかった。
そんな中でのミーティング。

今後のスケジュールを確認しながら、次の現場の予定を告げられた。
のみ。

わたしが聞きたいことは、そんなことじゃない。
Slackで送信した文章まったく読んでないのかよ。
仕方がないから、自分から聞いた。

仕事の流れ。
設定が必要なこと。
日常業務。
テレワークの曜日設定と業務内容。
などなど。

わたしが思っていたものとはまったく異なる返答があった。
そんなことかな。
というくらい、スッカスカ。

決まっているのは、次の現場だけ。
あとは、どフリー。
なーんも変わらない。

変わらなければならばいのは、自分自身。
この自習時間を、いかに有意義に過ごすか。
それだけだ。

自由に生きる方法。
とでも言うのか。
とりあえず、GWまでは音沙汰立てないように、ひっそりと過ごそう。
そう決めて、スケジュールを埋めた。

上長の席は、ふたつデスク越し。
静寂。
自分の付く息だけが聞こえていた…。

This story is fictional

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