見てはいけないものを見てしまった。そんな気がした。見なければよかったと、後悔はしていない。それだけが救いだ。
今日は、老舗洋菓子店「マッターホーン」へ行ってきた。
マッターホーンは1952年創業。
浜田省吾さんが生まれた年に創業したということで、少なからず縁を感じる。
ラッキーなことに、店内は 思ったよりも人は少なく。お目当てのバームクーヘンは、ショーケースに残っていることを確認した。
残っている。とは言え、ドキドキだ。
自分の前には、数人が すでに並んでいる。その人達が どれだけ購入するかによって、自分が購入できるかどうかが決まる。
やけに時間がかかっていた。まったく前に進まない。まるで、暴風雨の中のようだ。
何が起きているのか。まったくわからなかった。どうも、先頭の男性が注文した商品のラッピングに時間がかかっているらしかった。
ルーレットは回り続けてる。
わたしは、勝つことだけを、買うことが出来ることだけを信じて並び続けた。
これは、わたしだけではない。列に並んでいた誰も皆、同じことを思っていたはずだ。
どれくらい並んだだろうか。ようやく、ようやく自分の順番がやってきた。
丁か半か。ではない。有り金すべてを、いや、ショーケースに残っているバームクーヘンすべてを迷わず注文した。
わたしは、勝負に勝った。会心の勝利。すべては、計画通りだった。
会計が終わり、わたしの後ろに並んでいた女性の顔が見えた時。残念そうな、悔しそうな、やりきれないような、そんな顔をしているように感じた。
勝負は非情だ。勝者がいれば敗者がいる。
わたしの後ろに並んでいた女性は、わたしを憎んだだろうか。
そんなことはなかった。と思いたい。
もしも。わたしが バームクーヘンをいくつか残したとしたら。彼女は、わたしと同じことをしただろうから。
そして、彼女は、勝つことだけを信じて賭けを続ける。勝者になるために。
ミラー・ボールは、回り続けてる。
浜田省吾 愛の世代の前に (Acoustic Version / Short Version / 2020)
記事を書き終えてから、田島さんがインスタに投稿したことを知る。不思議。
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