NHKの朝ドラ『カムカムエヴリバディ』にハマっている。そんな人は多いのではないだろうか。わたしも、その一人である。
ストーリーもさることながら、出演している個性的な俳優達。中でも、ひと際輝いて見えるのは深津絵里だ。
サッチモちゃんと呼ばれ、ルイ・アームストロングの「オン・ザ・サニー・サイド・オブ・ザ・ストリート」、「ひなたの道」という言葉が多く聞かれる。
ネタバレとなるが、昨日の放送でジョーとるいの間には女の子の「ひなた」が生まれた。
ひなた
NHKの朝ドラ『カムカムエヴリバディ』で使われる「ひなた」。
検索すると、
日光の当たっている場所のこと
という意味になる。
では、「日光」はというと、
太陽の光線
だという。
つまり、「ひなた」とは、太陽の光線が当たっている場所。陽が当たっている場所といってもいいのではないだろうか。
「陽が当たっている場所」 イコール 「陽のあたる場所」と考えても問題ないのではないか。そう思うのだけれど、浜田省吾の曲には「ひなた」「日向」という言葉が使われているものはない。
浜田省吾が使う言葉は、「陽のあたる場所」。こだわりがあってのことだろう。こだわりとは、間違いなくスティービーワンダーの曲『A Place in the Sun』なのだろう。
A Place in the Sun
スティービーワンダーの曲『A Place in the Sun』は、日本語では『太陽のあたる場所』と表示される。『太陽のあたる場所』を、あえて『陽のあたる場所』と表現すること。
これは、何故なのか。
調べてみると、浜田省吾ファンの投稿した記事に書いてあった。
陽のあたる場所
監督賞はじめ8部門のアカデミー賞を受賞した、大ヒット映画『陽のあたる場所』に由来しているという。
モンゴメリー・クリフト、エリザベス・テーラーなどが出演。なんとも悲しい、暗い物語である。
この映画『陽のあたる場所』のタイトルから使っているのだろうか。
浜田省吾の曲『陽のあたる場所』は、映画『陽のあたる場所』をモチーフにした。そんなところからタイトルとして使われた。時として、コンサートで演奏される『陽のあたる場所』では、その状況をもとにしたMCを間奏で語られることがあった。
しかし。
である。
浜田省吾が、過去にコンサートで「陽のあたる場所」という言葉を語ったMCを考えてみると、『A PLACE IN THE SUN』の方ではないかと思えるものもある。
『陽のあたる場所』が使われているMC
『悲しい時や辛い時… いつも思い出して欲しい』
ON THE ROAD ’83 ~FINAL at NHKホール 1984年2月19日(日)
Hey、省吾。
ただひとりのひとを見つけて、
そのひとを愛し、
そしてやがて子供が生まれ、
ふたりにできなかったことややれなかったこと、
やり残したことを、その子供に託していく・・・
そんな単純で素朴な人生が、僕はいい。
それが、いい。だけど、僕を取り巻くいろいろなこと・・・
それは時にあまりに複雑で、そして、すれちがってしまって。そんなとき、僕は自分にこんなふうに語りかける。
「Hey,省吾。あんまり、周りのことは気にするなよ。
疲れ果てて何もかも嫌になったとき帰ってゆく、
帰ってゆける場所を、ただひとつだけ探しておきなよ。
それがきっと”陽のあたる場所”だ。」
1983年 海の中道『陽のあたる場所』の間奏にて
一本の長くて孤独な川のように
僕は夢に向かって走りつづけている
立ち止まらずに 先へと進んでいる
一本の樹の小さな枝のように
僕は自由を求めて手を伸ばし続けている
もっと先へと あきらめないで古くて埃まみれの道のように
僕は重荷にうんざりしている
でもどんどん行くんだ もっと先まで
くたびれて問題だらけの、この地球のように
生まれてからずっと僕は転がりっぱなしさ
ぐるぐる回れ 止まっちゃいけないだって陽のあたる場所はかならずあるから
そいつは誰にでも希望がある場所で
僕の貧しく不安な心も追っ掛けるべき場所なんだ
そうさ、陽のあたる場所はかならずある
命がつきてしまう前に
陽のあたる場所を見付けなくてはいけないよA PLACE IN THE SUN 日本語訳 浜田省吾
アルバム「Road Out“Tracks”」より
さいごに
“A place in the sun” はじめて歌ったR&B
HELLO ROCK&ROLL CITY / 浜田省吾
『HELLO ROCK&ROLL CITY』でのフレーズ。
浜田省吾にとって、『A place in the sun』は特別な曲。特別な思い出や思い入れがあるに違いない。
野外コンサートのタイトルを『A place in the sun』とし、渚園のオープニングで歌った曲。
初めて発売された映像作品『ON THE ROAD “FILMS”』では、迫力ある演出に鳥肌が立った。恥ずかしながら、わたしは『ON THE ROAD “FILMS”』で初めて『A place in the sun』を知った。
アカペラで歌われた『A PLACE IN THE SUN』。これ以上なく、浜田省吾はカッコよかった。
そして、長年の夢であっただろう『A PLACE IN THE SUN』のカバーを『ROAD OUT “TRACKS”』で果たした。
いつか、浜田省吾の『A PLACE IN THE SUN』への想いを、すべて語って欲しい。
浜田省吾にとって、『A PLACE IN THE SUN』とは、どんな存在なのか。『A PLACE IN THE SUN』に、どんな想いがあるのか。
浜田省吾の翻訳した『A PLACE IN THE SUN』を、考えながら、かみ砕きながら、思いを巡らせながら、ゆっくりと読んでみる。すると、「陽のあたる場所」の意味が うっすらとわかったような気がした。
どんなに苦しくても、ずっと悪いことばかりじゃない。
いいことだって必ずある。
希望を捨てず、前向きに生きていこう。そんなメッセージ。今のコロナ禍では、わたし達に勇気や元気をくれる。
いつでも。
いつまでも。
どんな時でも。
自分にとっての『陽のあたる場所』を探し続けること。永遠のテーマと言ってもいい。
わたしにとっての『陽のあたる場所』は、浜田省吾。この人に違いない。そう感じている。
若い世代の人に、この曲を伝えたい。悲しい時や辛い時、『A PLACE IN THE SUN』を聞いて欲しいと。
きっと、あなたにとっての『陽のあたる場所』が見つかるよって。
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